前回の記事では、膝が痛いときに「やってはいけない運動」
をご紹介しました。
「じゃあ、何もしないほうがいいの?」

そう思った方、少し待ってください。実は、
それが一番もったいないのです。
この記事はこんな方におすすめです
• 膝が痛くて運動をやめてしまっている方
• 変形性膝関節症と診断され、何をすればよいか分からない方
• 痛みを悪化させずにできる運動を知りたい方
• リハビリとして安全なトレーニングを始めたい方
• 膝の痛みを根本から改善したいと考えている方
膝の痛みがあると「動かない方がいい」と思われがちですが、
実際には適切な運動を行うことで回復が
早まるケースが多くあります。
この記事では、柔道整復師として多くの膝の痛みに
向き合ってきた経験をもとに、膝に負担をかけずに
できる運動を解説します。
安静にしすぎると、膝はもっと弱くなる

膝が痛いと、どうしても動くのが怖くなります。
でも、必要以上に安静にしていると、膝を支える
筋肉はあっという間に衰えていきます。
医学的にも「廃用性萎縮」と呼ばれるこの現象は早く、
健康な成人でも1〜2週間の安静で大腿四頭筋の筋力が
約10〜15%低下するというデータがあります。
筋肉が落ちると膝関節への負荷がさらに増し、
痛みが長引く悪循環に陥ってしまうのです。
つまり、「治ったら運動しよう」ではなく、
「治しながら動く」が正解です。
膝が痛い時にこそやるべき運動5つ

① 寝たまま行う「下肢伸展挙上(SLR)」
仰向けに寝た状態で、片脚を床から約30度持ち上げ
5〜10秒キープする運動です。膝を曲げずに大腿四頭筋
(太もも前面)を鍛えられるため、
膝関節への負担がほぼゼロ。
変形性膝関節症のリハビリとして世界中の
整形外科・リハビリ現場で採用されている
エクササイズで、膝の痛みがあっても
安全に行える筋力トレーニングの入り口として
最も推奨されています。
1日10〜15回×3セットから始めてみてください。

② 椅子に座ってできる「アイソメトリック(等尺性)収縮運動」
椅子に座り、壁や机の脚に足を軽く押し当てて、
膝を伸ばそうとする力を6〜10秒間入れ続けるだけ。
関節を動かさずに筋肉を収縮させる「等尺性収縮」
は、炎症がある時期でも筋力を維持・強化できる
数少ない方法です。
British Journal of Sports Medicine(2019年)
の研究では、等尺性運動が腱や関節周囲の痛みを
即時に軽減する効果も報告されており、
「痛みを和らげながら鍛える」という一石二鳥の
アプローチとして注目されています。

③ 股関節・お尻周りを鍛える「クラムシェル」
横向きに寝て、膝を軽く曲げたまま上側の脚の
膝を蛤(はまぐり)のように開閉する運動です。
股関節外転筋、特に中臀筋を鍛えることができます。
「膝の痛みなのに、なぜお尻?」と思われるかも
しれませんが、股関節の筋力が弱いと歩行や着地の
際に膝が内側に入る「ニーイン」という動作が生じ、
膝関節に不自然な負荷がかかります。
膝の慢性疼痛や膝蓋大腿痛症候群に対して、
股関節の筋力強化が膝の痛みを有意に改善する
というエビデンスは豊富にあり、膝の根本的な
原因にアプローチできる運動として
専門家の間でも重視されています。

④ カーフレイズ(かかと上げ)
立位でゆっくりとかかとを上げ下げ
するだけのシンプルな運動ですが、
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)
を鍛えることで、脚全体の血流促進と
膝関節の安定性向上につながります。
ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、
下半身の血液を心臓へ送り戻すポンプ機能を
担っています。膝周辺の炎症回復には血流の
確保が不可欠であり、ふくらはぎを動かすことで
回復に必要な栄養素が届きやすくなります。
壁に手をついて行えば、膝への余計な負担なく
安全に実施できます。

⑤ 加圧トレーニング(VRC加圧)
ここまでの4つは、ご自宅でも取り組める運動です。
そして5つ目は、当院・あさがおパーソナルジムで
提供している「VRC加圧トレーニング」です。
膝が痛くて本格的な運動が難しい方にとって、
加圧トレーニングは科学的に最も理にかなった
リハビリアプローチのひとつと言えます。
なぜ膝の痛みに加圧トレーニングが効くのか
加圧トレーニングとは、専用ベルトで腕や脚の
付け根を適切に圧迫し、血流をコントロール
しながら行うトレーニング法です。
最大の特徴は、最大筋力の20〜30%という
軽い負荷しか使わないにもかかわらず、
80%の高負荷トレーニングと同等以上の
筋力増加効果が得られる点です。
なぜそんなことが起きるのかというと、
血流を制限した状態で筋肉を動かすと、
筋肉内が低酸素状態になります。
脳はこれを「非常に激しい運動をしている」
と認識し、筋肉の修復・成長を促す
成長ホルモンを大量に分泌します。
通常のトレーニングと比較して約100〜300倍の
成長ホルモン分泌が確認されており、
それが軽い負荷でも高い筋力アップ効果を
もたらす理由です。
膝に問題がある方に対する加圧トレーニングの
研究では、週2回・4週間(計8回)のプログラムで、
等尺性膝伸展筋力が平均34%増加し、
大腿四頭筋の断面積も平均6.6%増加
したという報告があります。この際の負荷は、
中高年の方で2〜5kgの重しで十分という、
膝に問題のある方でも十分対応できる強度でした。
(加圧トレーニングの理論と実践/講談社)
また、加圧と除圧を繰り返すことで血管の
弾力性が高まり、一酸化窒素(NO)の産生が
促されて膝周辺の血行が改善されることも
確認されています。損傷した組織の修復には
酸素と栄養の供給が欠かせないため、
この血流改善効果もリハビリに大きく貢献します。

さらに一歩先へ。「VRCシステム」による駆血法
あさがおパーソナルジムでは、
加圧トレーニングの進化版ともいえるVRC
(Venous blood Return Constriction=静脈血流制限)
システムを導入しています。
VRCは、元JAXA(宇宙航空研究開発機構)所属の
医学博士・山崎由久氏が開発した特許技術を持つ機器で、
従来の加圧トレーニングでは難しかった正確な
血流管理を実現します。宇宙飛行士が無重力環境下での
筋力低下を防ぐために開発されたという経緯からも、
その精度の高さがうかがえます。
VRCシステムが持つ大きな特徴が「駆血法(くけつほう)」です。
駆血法とは、専用カフで腕や脚を圧迫して
約1〜2分間血流を制限し、その後一気に圧を
解放するという操作を繰り返すケアプログラムです。
ここで注目すべきは、「動かなくてもリハビリになる」
という点。通常のトレーニングのように筋肉を
収縮させる運動が不要で、座ったまま・寝たまま
の安静な状態で行えます。
そのメカニズムはこうです。
血流を制限すると、脳は「血液が足りていない」
と判断し、血流を回復させようとポンプ機能を
強める反応を起こします。その後、一気に
圧を解放すると「ジワっと」熱く感じるほど
急速に血流が増加。この加圧と除圧の繰り返しが、
毛細血管(いわゆる「ゴースト血管」)にまで
血液を届け、血管の弾力性を回復させます。
この効果として確認されているのは、関節周辺の
炎症改善・痛みの軽減・血管の若返り・成長ホルモン
の分泌促進です。骨折や打撲の治癒が早まる
という報告もあり、医療現場での活用も進んでいます。
特に「膝が痛くて動かせない」「リハビリをしたいけど
何も運動できない状態」という方にとって、動作を
必要とせずにリハビリ効果が得られる駆血法は、
まさに理想的なアプローチです。
「治す」と「鍛える」は同時にできる
ここまで5つの方法をご紹介しました。
共通しているのは、膝関節を守りながら、
膝を支える筋肉と血管にアプローチしていることです。
りくりゅうペアが怪我のリハビリ中にも
身体の強化を続けたように、「治療とトレーニングは
対立するものではない」ということを、治療の
現場に立ち続ける柔道整復師として日々
実感しています。適切な運動を、適切なタイミングで
取り入れること。それが回復を最短にする唯一の道です。
「どこまでやっていいか」が、一番難しい
とはいえ、「この痛みで本当にやっていいの?」
「どの程度の負荷が適切なの?」という判断は、
専門家でないと難しいのが正直なところです。
同じ「膝の痛み」でも、半月板損傷なのか、
変形性膝関節症なのか、靭帯の問題なのか、
それとも筋肉の問題なのかによって、
取り組むべき運動はまったく変わります。
自己判断で進めて、かえって回復が遅れてしまう
ケースも少なくありません。

あさがおパーソナルジム/あさがお整体院ができること
あさがおパーソナルジム/あさがお整体院では、
柔道整復師の資格を持つパーソナルトレーナーが、
施術とトレーニング指導を一体で提供しています。
まず柔道整復の施術で炎症や痛みをコントロールし、
その状態に合わせてパーソナルトレーニングで
「今日できる運動」を一緒に組み立てていきます。
そして、従来の加圧トレーニングよりも安全・
精密に血流管理を行えるVRCシステムを用いた
「駆血法」により、痛みが強くて動けない方でも
始められるリハビリを提供しています。
痛みの段階に応じて、駆血法による血流改善
→加圧トレーニングによる筋力維持→通常の
パーソナルトレーニングへと、無理のない段階で
移行できるのは、治療とトレーニングの両方を
深く理解している専門家だからこそです。
「痛みがある間は整体でケアして、痛みが引いたら
ジムへ」ではなく、治療しながら同時に身体を
強くしていく流れを、ひとつの場所で。
膝の痛みで「運動を諦めている」「何をしていい
かわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
FAQ
- 膝が痛いときは運動しない方が良いのでは?
-
完全な安静はおすすめできません。
長期間動かない状態が続くと、
膝を支える筋肉が弱くなり、
かえって膝関節への負担が増えてしまいます。
重要なのは 膝に負担をかけない運動を選ぶこと です。
この記事で紹介しているような運動は、
膝のリハビリとして広く行われています。 - どのくらいの痛みなら運動しても大丈夫ですか?
-
一般的には
• 運動中に強い痛みが出ない
• 運動後に痛みが悪化しないこの2つが目安になります。
ただし膝の痛みの原因は人によって異なるため、
半月板損傷・靭帯損傷などが疑われる場合は
専門家に相談することが大切です。
- 膝が痛いときにおすすめの運動は何ですか?
-
膝に負担をかけにくい運動とし
• SLR(下肢伸展挙上)
• 等尺性収縮運動
• クラムシェル
• カーフレイズなどがよく行われます。
これらは膝関節を安定させる筋肉を鍛えながら、
膝への負担を最小限に抑えられる運動です。 - 加圧トレーニングは膝が痛くてもできますか?
-
適切な指導のもとで行えば可能です。
加圧トレーニングは 低負荷でも
筋力を高めることができるため、
関節への負担を抑えながら
筋力強化ができる方法 として注目されています。ただし自己流ではなく、
専門家の管理下で行うことが重要です。
監修
あさがおパーソナルジム / あさがお整体院
柔道整復師 トレーナー 加藤秀之
整骨院での臨床経験をもとに、膝・腰・肩などの
関節トラブルの施術に長年携わる。
現在は整体とパーソナルトレーニングを
組み合わせたアプローチで、身体の回復と
再発予防をサポートしている。
フルマラソン25回以上完走
サブスリーを目指してトレーニングを
続けた経験を持つ
「整える → 鍛える → 結果を残す」を
コンセプトに、運動習慣のない方でも
安心して身体づくりができる環境づくりを行っている。



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