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筋肉が減ると認知症リスクも上がる?最新研究からわかった意外な関係

筋肉が減ることで認知症リスクも上がるブログのアイキャッチ

監修:あさがおパーソナルジム/あさがお整体院
柔道整復師・パーソナルトレーナー 加藤秀之
38年の臨床経験をもとに、運動器疾患の施術と運動指導を行う。
世田谷認知症予防プロジェクト主宰。

この記事を読んでいるあなたは、
自分や家族の「最近の変化」が気になっているかもしれない。
まず一つの話を聞いてほしい。

目次

毎日1万歩、囲碁6段、ゴルフも嗜む。


それでも認知症は始まった。筋肉と脳の意外な関係。
「いよいよ始まったかと思って。でも誰にも言えなかったんです」

先日、70代の女性会員さんがそっと打ち明けてくれた。
10歳年上のご主人のことだった。
物忘れが増え、「言った、言わない」の言い争いが日常になった。

義理の息子からも
「お父さんが何を言わんとしているのかがわからなくなってきた」
と指摘された。

認知症になってしまったシニア男性


そしてある日、何度も歩いたはずの近所の税務署への道で、
ご主人は迷子になった。
驚いたのはここからだ。

ご主人は雨の日以外、毎日1万歩を欠かさず歩いていた。
囲碁は6段の腕前で、長年仲間との対局を楽しんでいた。
会社員の頃から続けてきた大好きなゴルフも嗜んでいた。
「健康に気をつけている」「頭も使っている」

——誰もが、ご主人は認知症とは無縁だと思っていた。

なぜ、これほど気をつけていた人に認知症が始まったのか。
その答えを考えるとき、私はもう一人の方のことを思い出す。

囲碁が趣味で、毎週教室に通い対局を楽しんでいた方だった。
ある日「最近負け続けで、勝てなくてショックで」と打ち明けてくれた。
その後、町で偶然すれ違い、こちらから挨拶をしたとき

——私の顔を見ても視線が定まらず、誰なのか認識されていなかった。

白黒の碁石と碁盤


後に施設に入所されたと、風の噂で聞いた。
お一人で生活されていたからだろうか。

38年の臨床で、私はこうした場面を何度か経験してきた。
そして気づいたことがある。
認知機能が落ちる前に、必ず体に先行するサインがある。
それは「筋肉」だ。

第1章 ウォーキングでは足りない理由

ウォーキングを続けているから大丈夫
その安心感が、最も危険かもしれない。
「運動すれば認知症を予防できる」

これは広く知られた事実だ。
しかし正確に言うと、予防に必要な「運動」とは、
ウォーキングのような有酸素運動だけを指さない。
むしろ、見落とされがちな要素がある。筋肉量の維持だ。

毎日1万歩を歩いていたご主人が認知症になった
——という事実は、ここに関わっている。
ウォーキングは心肺機能を高め、脳血流を改善する効果がある。
間違いなく体に良い。

しかし、筋肉量を増やす、あるいは維持するという点では効果が限られる。
「ウォーキングだけでは筋肉量の低下を防げない」
これは今や専門家の間で広く認められた事実であり、
東洋経済オンラインをはじめ複数の医療メディアも明確にそう伝えている。

特に加齢による筋肉の減少

元気に歩くシニア女性


—サルコペニア—を止める力は、ウォーキングだけでは弱い。

人間の筋肉量は40代から年に約1%ずつ低下し始める。
ウォーキングを続けながらも筋力トレーニングをしなければ、
筋肉は静かに、確実に失われていく。

そしてその筋肉の減少が、
認知症リスクと深く結びついていることが、
近年の研究で次々と明らかになっている。

第2章 筋肉と脳をつなぐ「見えないパイプ」

「筋肉と脳は別物」と思っていないだろうか。
実は体の中で、この2つは深く結びついている。
なぜ筋肉が減ると認知症リスクが上がるのか。

メカニズムは複数ある。

① 筋肉は「脳を守る物質」を出している

筋肉が動くとき、マイオカインと呼ばれる物質が分泌される。
これは筋肉が運動によって産生・分泌する生理活性物質の総称で、
脳の神経細胞の保護や新生を促す働きを持つ。
筋肉量が減るということは、この脳への保護物質が減るということだ。

筋肉からマイオカイン物質が分泌されるイメージ画像


② 筋肉が減ると脳への血流が落ちる

筋肉量の低下は身体活動量の低下を招く。
活動が減れば全身の血流が落ち、脳への血液供給も減少する。
脳は血流によって酸素と栄養を受け取っているため、
これは直接的なダメージになる。

③ 「サルコペニア肥満」が認知症リスクを最も高める

順天堂大学の研究(文京区在住高齢者1,615名対象)では、
筋力低下と肥満が重なる「サルコペニア肥満」の人は、
正常な人と比べて認知症の有病率が顕著に高いことが明らかになった。

注目すべきは、認知症患者は男性より女性が約2倍多いという事実だ。
体重は標準に見えても、筋肉が少なく脂肪が多い状態

—これが最も危険であり、自覚しにくい分だけ厄介だ。

④ 2025年の最新研究が示すこと

2025年5月、国立長寿医療研究センターなどの研究チームが
発表した論文では、筋肉の「質」を示す指標(フェーズアングル)
が高いほど、軽度認知障害のリスクが低いことが
初めて示された。この傾向は特に女性で顕著だった。

筋肉量だけでなく、
筋肉の質そのものが、脳の健康と連動している。

第3章 体は正直だ

38年の臨床で見えてきた「筋肉と認知症」の接点

私は柔道整復師として38年、
延べ2万人の体に向き合ってきた。
その経験の中で、一つの確かなパターンに気づいた。

認知機能が落ちていく人には、
必ず体に先行するサインがある。
そしてそのサインは、血液検査にも画像診断にも映らない。

施術やトレーニング指導の現場で、
体に直接触れてきた者にしか気づけないものだ。

サイン① 表情がなくなる

認知症で表情がなくなったシニア女性


以前はよく笑っていた方が、ある時期から表情が乏しくなる。
「なんとなく元気がない」では片付けられない変化だ。

筋肉は顔にもある。
全身の筋肉量が落ちると、表情筋も衰える。
笑顔が減り、顔つきが平坦になっていく。

これは単なる「気分の問題」ではない。
表情の変化は、脳の活動量の低下と連動していることが多い。

サイン② お尻の筋肉が明らかに落ちる

臨床の現場で最も信頼できる指標の一つが、
大臀筋——お尻の筋肉だ。
大臀筋は人体最大の筋肉であり、
立つ・歩く・姿勢を保つという全ての動作の土台になっている。

ここが落ちると、骨盤が後傾し、
腰椎への負担が増し、姿勢が崩れ始める。

認知機能が落ちてきた方の多くは、
触れる前からお尻の筋肉量の低下が見てわかる。
視覚的に「ぺたんこ」になっている。
これは単なる老化ではなく、全身の筋肉量低下のシグナルだ。

サイン③ トボトボと下を向いて歩くようになる

歩き方は、体と脳の状態を映す鏡だ。
以前は背筋が伸び、しっかりした歩き方だった方が、
ある時期から下を向き、すり足気味になる。

杖をついてとぼとぼ歩くシニア男性


歩幅が狭くなり、リズムが乱れる。
これは姿勢を維持する筋力
—体幹と下肢の筋肉—が低下したサインであると同時に、
脳からの指令が筋肉に届きにくくなっているサインでもある。

歩行速度の低下と認知機能の低下に相関があることは、
複数の研究で示されている。

そして姿勢が崩れ、痛みが出る

私が長年観察してきたパターンはこうだ。
まず姿勢が良かった人の背中が丸くなる。

次に腰痛や膝の痛みが出てくる。
痛みがあると動くのが億劫になる。
動かなければ筋肉はさらに落ちる。
筋肉が落ちれば脳への刺激も血流も減る——。

この連鎖が静かに、気づかれないまま進んでいく。
冒頭でご紹介した囲碁の方も、
姿勢の変化と運動への苦手意識が重なっていた。

「運動が苦手で」という言葉の裏に、
すでにこの連鎖が始まっていたのかもしれない。

一人暮らしはリスクをさらに高める

もう一点、見逃せない事実がある。
冒頭の会員さんのご主人も、囲碁の方も、
日常的なコミュニケーションが少ない環境にあった。

一人で寂しく食事するシニア男性


家族と離れて暮らす単身生活では、誰かと話す機会が自然と減る。
会話は脳への刺激であり、筋肉を動かす日常活動の動機にもなる。
孤立は筋肉の衰えと認知機能の低下を、両方から加速させる。

第4章 40代・50代が今すぐ動くべき理由

「自分にはまだ関係ない」と思っているからこそ、
この数字(年齢)を見てほしい。

「認知症は高齢者の病気」
—そう思っている方に、一つの事実をお伝えしたい。
アルツハイマー型認知症の脳内変化は、
発症の20年以上前から始まっていることが、
近年の研究で明らかになっている。

つまり、70代に認知症と診断された人の脳では、
50代にはすでに変化が始まっていた可能性がある。

「まだ先の話」ではない。40代・50代の今が、
予防の最後で最大のタイミングだ。
筋肉量は何もしなければ40代から静かに減り始める
筋肉量のピークは一般的に30代前半だ。

そこから40代にかけて年約1%ずつ低下し始め、
60代以降はそのペースが加速する。
問題は、この低下が自覚症状なく進むことだ。

体重は変わらない。健康診断の数値も異常なし。
しかし体の中では、筋肉が脂肪に静かに置き換わっている。
見た目は「普通体型」でも、筋肉量が少なく脂肪が多い
「サルコペニア肥満」の状態になっている人が、
40〜50代に急増している。

「頭を使っているから大丈夫」は通用しない
囲碁6段のご主人は、間違いなく頭を使い続けていた。
それでも認知症は始まった。

脳トレや知的活動は認知症予防に効果がある。
しかしそれだけでは足りない。
筋肉という「脳を守るインフラ」が同時に失われていけば、
いくら頭を使っても土台が崩れていく。

筋肉と脳は、切り離せない一体のシステムだ。
「痛みが出てから」では遅い
腰が痛くなった、膝が痛くなった
—そこから運動を始めようとする方は多い。

膝の痛みを訴えるシニア女性


しかしその時点では、
すでにかなりの筋肉量が失われている。
痛みは「筋肉の衰えが限界を超えたサイン」だ。
痛みが出る前の、まだ動ける今こそが、
運動を始める適切なタイミングだ。

40代・50代のうちに筋肉量を守ることは、
60代・70代の認知症リスクを下げることに直結する。
これは今や研究が示す事実であり、
私の38年の臨床が裏付ける実感でもある。

第5章 地域で予防をつくる

—医師と運動の専門家が連携する理由

「整体やジムが、なぜ認知症の話を?」
と思われる方もいるかもしれない。
答えはシンプルだ。

認知症は、筋肉を動かすことから予防できるからだ。
薬を飲む前に、病院に行く前に、
日常の運動習慣の中で筋肉量を守り続けること
—それが認知症予防の最前線だと、
38年の臨床経験と最新の研究の両方が示している。

パーソナルで筋トレを指導するトレーナー


あさがおパーソナルジムでは現在、
桜上水駅前内科の久米一成先生と連携し、
「世田谷認知症予防プロジェクト」として
地域の認知症予防に取り組んでいる。

運動と医療が両輪となって、地域の方々の健康を
支える仕組みだ。この取り組みの詳細と、
第1回セミナーの様子はこちらの記事で紹介している。

→「50代からの対策が、未来のあなたと家族を守る」
—認知症予防セミナーを開催しました【赤堤ゴルフクラブ】
(内部リンク:セミナーレポート記事URL)

おわりに

毎日1万歩、囲碁6段、ゴルフも嗜む—それでも認知症は始まった。
このエピソードが伝えているのは「あの人でもなるなら仕方ない」
という諦めではなく、「筋肉を守ることで、今からでも
まだ間に合う人がいる」というメッセージを発信したい

有酸素運動に筋力トレーニングを加える。
日常の中にもう一つの習慣を作る。
それだけで、20年後の脳は変わる可能性がある。

冒頭の会員さんには、こうお伝えした。
「ご主人に、『私もボケたくないし、一緒に久米先生の
ところへ行かないか』と誘ってみてはどうでしょう。
病院に連れていくのではなく、一緒に行く。
それだけで、ご主人の尊厳を守りながら、
最初の一歩が踏み出せるかも知れませんね」

公園をシニア夫婦一緒に散歩する


予防は、家族や仲間とのつながり(コミュニティ)の中にある。
あなたの筋肉は今日も脳を守ろうとしている。
その力を、一緒に育てていきましょう。

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この記事を書いた人

加藤秀之
国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー

大阪出身。18歳で上京し、昼は接骨院・夜は専門学校という生活を3年間続けて柔道整復師の国家資格を取得。

1998年に下高井戸で開業して28年目。

自身はフルマラソン・サブ3.1のガチランナーとして月400キロ走り込んだ経験から、予防は治療に優るから「治すより、病気しない・怪我しない」時代が来ると信じている。

現在も下高井戸商店街振興組合理事を24年間務め、
ご縁のある地域の方の健康と28年間向き合ってきた。

あさがおパーソナルジム/あさがお整体院(世田谷区下高井戸)1分

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