あさがおパーソナルジム /あさがお整体院 腰痛シリーズ第3話 筆者 加藤秀之
「くしゃみした途端、ビリっと衝撃が走って動けなくなった」
「台所に立っていると、腰が重く、痛くなってくる」
「病院で異常なしと言われたのに、痛みは消えない。」
そんな腰痛の始まりは、実は拍子抜けするほど身近な瞬間に潜んでいたりします。
腰痛の85%は検査で原因が映らない「非特異的腰痛」です(WHO分類)。つまり検査をした結果「どこが悪いのか分からない」と言われる痛みです。でも本人にとって原因不明かどうかなんてどうでも良くて、痛みをどうにかしたいのが本心です。私柔道整復師として40年・約20,000人の方を診てきました。その中で見えてきたのは、腰痛を繰り返す方に共通するパターンと、そこから抜け出すために本当に必要な方法です。それを知ることで、腰痛から解放される可能性は大きく高まります。
第1話では「腰痛はなぜ起こるのか」を、第2話では「ヘルニア・脊柱管狭窄症・すべり症とはどんな病気か」をお伝えしました。
第3話は少し違います。
教科書に書いてあることは、教科書を読めばわかります。足掛け40年、私が施術室で患者さんと向き合ってきて気づかされたことは、教科書には書いていないことがほとんどだったことです。柔道整復師として約20,000人の方を診てきた現場から、今日はそのリアルな体験をお伝えします。
①くしゃみの瞬間、時間が止まった——急性腰痛のリアル

40年間、こういった訴えを何百回と聞いてきましたが、腰痛は、突然起きたように見えて、実際には突然ではありません。「くしゃみをしたから」「ゴミを拾ったから」「無理なストレッチをしたから」
そんな風に思われがちですが、実はそれらは最後の引き金にすぎません。腰には、それまで積み重なってきた疲労や筋肉の緊張、姿勢のクセなどが少しずつ蓄積されています。そして、ある瞬間に限界を超えたとき、激しい痛みとして現れるのです。
だから私は急性腰痛の方が来院されたとき、まず触診を大切にしています。どの筋肉が緊張しているかを丁寧に確かめながら、触れる程度の柔らかい手技で痛みの場所の遠いところから、少しずつ緩めていきます。
強い指圧や捻る操作は、この段階では避けます。炎症を伴っている場合もあるからです。患部を強く刺激することで、かえって症状を悪化させることがあります。
施術人生を通じて、ひとつ大切にしている言葉があります。
「安静にするだけではなく、安定させることを目指す」
自分の足で歩いて来院されている時点で、その方は痛いなりにすでに動いています。ならば、施術後に「痛みが楽になった」と実感していただくために、腰を安定した状態に導くことが最初のゴールです。完全にゼロにすることではなく、まず歩けること。その一歩を目指します。
魔法のように一度でスッキリ治る——そういうケースはごく少数です。それよりも、丁寧に段階を踏んで回復していく方が、再発しにくい体に近づきます。
②台所に立つのが怖くなった——慢性腰痛という複合問題

急性腰痛と対照的なのが、じわじわと生活を侵食していく慢性腰痛です。
「料理中、台所に立っていると腰が重くなってきて」「夕方になると腰がだるくて、何もしたくなくなる」——このような訴えの場合、原因はひとつではないことがほとんどです。
更年期によるホルモンバランスの変化、それに伴う体重増加、運動不足による筋力低下——これらが複雑に絡み合って、腰への負荷として現れます。
施術のアプローチも変わります。まず患部だけでなく、痛みをかばうために緊張している周辺の筋肉を丁寧に緩める。そして症状が落ち着いてきた段階で、本当の意味での根本治療に移ります。
歩き方の癖の修正、姿勢の改善、そして運動指導。
腰痛を繰り返す方の多くに共通しているのは、「腰だけを治そうとしている」ことです。腰を支えているのは、腰だけではありません。お腹・お尻・太もも・股関節——それらすべてが連動して、はじめて腰は安定します。
③病院でどこも悪くないと言われて——心因性腰痛という現実

「整形外科に行ったら、レントゲンでは異常なしと言われました。でも痛いんです」
このような方が、あさがおには多く来られます。いくつもの病院を転々とした末に、たどり着く方も少なくありません。
第1話でもお伝えしましたが、腰痛の85%は原因が特定できない「非特異的腰痛」です。つまり、検査で何も映らないことは、決しておかしなことではありません。
こういった場合、私がまず行うのは施術ではなく「話をじっくりと聞くこと」です。
日常生活のこと、仕事のこと、睡眠のこと、最近の体の変化——あらゆる可能性を考えながら、時間をかけてお話を伺います。
現場では不思議なことがあります。話を伺わせていただいて、改善できそうなことをアドバイスするだけで、痛みが変わることがあるのです。
「85%の人が同じように原因がわからない痛みを抱えています。あなたがことさらおかしいわけではありません」
そう伝えるだけで、表情が変わる方がいます。また、こんな言葉をかけることもあります。
「歳だから仕方ない、は違います。弱った筋肉は鍛えれば強くなります。痛みを取ることと、若々しい体を取り戻すことは、同じ方向を向いています」
心因性腰痛の場合、あさがおでは信頼関係を築きながら、施術と運動指導を組み合わせてアプローチします。「ここに来ると楽になる」「元気をもらえる」という環境をつくることが、回復への大きな力になるからです。
④「先生、元通りに歩けますか?」——40年で気づいたこと

腰痛で来院された方が、施術後に帰り際、心配そうに私の顔色を見ながらこう聞きます。
「先生、私……元通りに歩けますか?」
40年間で何度この言葉を聞いたでしょうか。そしてその都度、私は同じ気持ちになります。——もっと早く来てくれれば、と。
実はこの言葉、使い方によっては患者さんに絶望感を与えかねません。「もっと早く来てくれれば」——聞きようによっては、もう手遅れだと突き放しているようにも響くからです。だからこそ私は、その言葉の代わりに予防の話をします。痛くなる前に動ける体をつくること——それがあさがおの一番伝えたいことです。
腰痛は、痛みが引くと「治った」と感じてしまいます。でも、痛みが消えることと、再発しない体になることは、別の話です。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。人間として自然なことです。でも腰痛だけは、そのサイクルを繰り返すたびに少しずつ体への負担が積み重なります。
もうひとつ。
「先生、私、歳だから仕方ないですよね」
と言われることも多い。
仕方なくはありません。筋肉は、何歳からでも鍛えることができます。40年の臨床で、それは確信になっています。
諦めるには、まだ早い。
- ⚡️くしゃみで動けなくなった急性腰痛
- ⚡️更年期と運動不足が重なった慢性腰痛
- ⚡️病院で異常なしと言われ続けた心因性腰痛
✅同じ「腰が痛い」という訴えでも、背景はまったく異なります。だからこそ、最初の「見極め」と「聞くこと」が重要だと、40年間ずっとそう感じてきました。
✅先生、元通りに歩けますか?——その答えを、一緒に探しましょう
「まだそれほど重くないから」と受診を先延ばしにする方も少なくありません。
「病院で異常なしと言われたから様子を見ていました」
そう思って後回しにしている方こそ、動くなら今です。腰痛は、早く向き合うほど選択肢が広がります。
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