ここ最近、夏になると酷暑日・猛暑日と呼ばれる日が目に見えて増えました。日中の気温が上がれば、当然夜になっても気温は下がりきらず、連日の熱帯夜が続きます。
「寝苦しい夜が増えた気がする」——そう感じているなら、それは思い込みではありません。気温そのものが、確実に上昇しているのです。ある調査では、エアコンを使用しているにもかかわらず、81.5%の人が「寝苦しさを感じることがある」と回答しています(出典:ムーンムーン株式会社「熱帯夜のマットレス環境に関する実態調査」)。エアコンも扇風機も、当たり前のように使っている時代なのに、です。
夏の不眠、寝苦しさは「暑いから仕方ない」で片付けられがちですが、原因を分解していくと、対策できる部分とできていない部分がはっきり見えてきます。今日は、朝までぐっすり眠るための具体的な5つの方法をお伝えします。
この記事を読んでくださっている方の多くも、きっと共感いただけると思います。実はこの季節、多くの方が同じような悩みを感じています。「エアコンをつけているのに、夜中に目が覚めてしまう」「以前より眠りが浅くなった気がする」。
特に年齢を重ねると、もともと必要な睡眠時間が徐々に短くなり、ちょっとした暑さの刺激でも眠りが浅くなりやすい傾向があります。若い頃なら気にならなかった程度の室温変化が、今は睡眠を左右する——そんな変化を感じている方も少なくないはずです。
私たちの体は夜になると、手足の先から熱を逃がして体の内部の温度(深部体温)を下げることで、自然な眠気が訪れる仕組みになっています。ところが寝室の温度が高いままだと、この熱がうまく逃げていかず、深部体温が下がりきらないまま朝を迎えることになります。
かくいう私自身も、寝る前に薄い保冷剤を首筋に当てることがあります。ですが、しばらくすると保冷剤も体温で溶けてしまい、結局暑さで目が覚めてしまう——そんな経験を何度もしてきました。これは、保冷剤が体の一部分だけを冷やす対症療法である以上、避けられない結果なのだそうです。部屋全体に熱がこもったままでは、体全体からの放熱が追いつきません。実際、夏の寝苦しさに関する調査でも、「背中や腰の熱こもり」が気になる点として最も多く挙げられており、エアコンの冷気が届きにくい体と寝具の接触面に不快感が集中していることが分かっています(出典:ムーンムーン株式会社「熱帯夜のマットレス環境に関する実態調査」)。
さらに、柔道整復師として長年たくさんの体を診てきた立場からお伝えしたいのが、もうひとつの見落とされがちな原因です。私たちは眠っている間、無意識に20〜30回ほど寝返りを打ち、体の向きを変えることで血行を促し、同じ場所に熱がこもるのを防いでいます。
この寝返りという現象、実はとても面白い一面があります。生まれたばかりの赤ちゃんは、自分の力で寝返りを打つことができません。暑いとき、体に熱がこもっても自分で向きを変えられず、代わりに「暑いよ」と泣いて知らせます。それが、寝返りを覚えた頃の子どもを見ていると一変します。一晩のうちに何度も、まるで目が回るほどグルグルと寝返りを繰り返す。あのエネルギーの塊のような姿は、体が「熱をこもらせない」ための本能的な調整を、全力で行っている証でもあるのです。
そして年齢を重ねるとともに、関節が硬くなり筋力が落ちることで、この寝返りは少しずつ減っていきます。行き着く先は、自力で寝返りを打つことができない、いわゆる寝たきりの状態です。私は長年の臨床の中で、「寝返りが打てない」から「寝返りを盛んに打つ」、そして再び「寝返りが減っていく」という一連の変化を、成長と老化の縮図のように感じてきました。夏の寝苦しさの背景にも、実はこの体の変化が静かに関わっているのです。
こうした「体の使い方」からくる不調は、実は不眠だけにとどまらず、体全体の変化のサインとして捉えることもできます。これらは40年にわたり柔道整復師として現場で体を診てきたからこそ気づける部分でもあります。単に「暑いから眠れない」で終わらせず、体の状態まで含めて対策を考えることが、根本的な改善につながります。
① 室温は26℃・湿度50〜60%を目安に、冷房は朝までつけっぱなしに

快眠のカギは、実は「室温」だけでなく「布団の中の温度」にあります。布団の中(寝床内環境)は、年間を通じて温度33℃・湿度50%前後に保たれているのが理想とされています(出典:フランスベッド公式サイト)。この状態に近づけるための室温の目安が、夏は26℃前後・湿度50〜60%、冬は16〜19℃・湿度50〜60%です。
「寝冷えが怖いから」「電気代が気になるから」とタイマーで切ってしまうと、明け方に室温が上がり、深部体温が下がりきる前に目が覚めてしまう原因になります。実際、エアコンが止まってから1時間ほどで室温が1.5〜2.5℃上がるというデータもあります(出典:ウェザーニュース(三菱電機霧ヶ峰PR事務局への取材))。除湿運転ではなく通常の冷房運転のまま、朝まで稼働させておくのがおすすめです。
② 就寝1〜2時間前に、40〜42.5℃のお湯に20分ほど浸かる

「暑いのにお風呂に入ると余計に体温が上がって眠れなくなるのでは」と思われるかもしれませんが、実は逆です。就寝前の入浴が睡眠に与える影響を調べた17件の研究をまとめた分析では、入浴によって寝つくまでの時間が平均8分短縮され、睡眠の質を示す睡眠効率も改善することが確認されています(出典:睡眠プライマリケアクリニック)。
ポイントはタイミングです。就寝の1〜2時間前に入浴を済ませておくと、お風呂から上がって深部体温が下がり始めるタイミングとベッドに入る時間が重なり、スムーズな入眠につながります。時間は10分でも一定の効果はありますが、20分ほどゆっくり浸かるとより効果的とされています。夏場は特に、入浴後に全身がびっしょり汗をかくものですが、その汗が落ち着いていくのに合わせて体温がゆっくり下がっていくよう仕向けることが大切です。この際、扇風機やハンディファンで軽く風を送るのもおすすめです。
③ お風呂上がりに、ゆっくり全身をほぐす

入浴で温まった体は、そのままにしておくと熱がこもりやすくなります。反動をつけず、ゆっくりと全身を伸ばすストレッチを行うことで、末端の血行が促され、体温の放出がスムーズになります。
ゆったりとしたストレッチを行うと、血圧や心拍数が下がり、心身をリラックスさせる副交感神経の働きが活発になることが分かっています(出典:神奈川県公式ホームページ)。激しい運動は体を興奮させてしまうため、あくまで「ほぐす」程度の軽い動きにとどめるのがポイントです。
④ 通気性の良い寝具を選ぶ
掛け布団や敷きパッドの素材が汗を吸いにくいと、布団の中に熱と湿気がこもり、寝苦しさの原因になります。麻や綿など、吸湿性・放湿性に優れた素材を選ぶことで、理想とされる「布団の中の温度33℃・湿度50%」に近づけやすくなります。実際の調査でも、接触冷感寝具や送風といった手軽な対策をしている人は多い一方、通気性の高いマットレスへの買い替えまで踏み込んでいる人は1割に満たないという結果も出ており、寝具そのものの見直しはまだ手つかずの方も多いようです(出典:ムーンムーン株式会社「熱帯夜のマットレス環境に関する実態調査」)。
余談ですが、私が今年の夏に買ってよかったと感じている暑さ対策グッズが、ワークマンの接触冷感Tシャツです。手頃な価格ながら冷却効果がしっかり持続し、室内で風に当たるとひんやりするほどでした。同じ発想でシーツや敷きパッドまで作ってもらえたら、迷わず買うのですが——などと思うくらい、寝具選びひとつで体感は大きく変わります。
⑤ 体の柔軟性を保ち、寝返りを打ちやすい体をつくる
ここまでの4つは、室温・湿度・入浴・寝具という「環境」を整える工夫でした。しかし、40年にわたり多くの体を診てきた中で感じるのは、環境をどれだけ整えても、それを受け止める体の側に問題があると、対策の効果が半減してしまうということです。
先ほどメカニズムのところでもお話ししたとおり、寝返りには体の同じ部分に体重や熱が集中し続けるのを防ぐ役割があります。関節が硬くなったり筋力が落ちたりすると、この寝返りが十分に打てなくなり、特に背中側に熱と体重がこもり続けます。「保冷剤で冷やしてもすぐに暑さがぶり返す」という状態は、まさにこの結果として起こっているのです。
改善のために、特別な運動は必要ありません。就寝前に股関節を軽く回す、肩甲骨を寄せたり開いたりする、といった1〜2分程度の簡単な動きだけでも、寝返りの打ちやすさは変わってきます。体の使い方まで含めて夏の眠りを整えることが、根本的な対策につながります。動かし方が分からなければ、気軽に直接ご質問くださいね。
「気づいたら朝で、目覚ましで起きた」——そんな当たり前のはずの朝が、この夏はまだ遠く感じている方もいらっしゃるかもしれません。室温を整え、入浴のタイミングを見直し、体をほぐす。そこに、体の柔軟性という視点をひとつ加えるだけで、保冷剤に頼らなくても朝まで眠れる夜が増えていきます。
私自身、忙しさで体を動かせない日が続くと、決まって寝苦しさが顕著に現れます。そんなときは、職場で運動する時間が取れなくても、帰宅後に近所を15分ほど軽く走り、汗を流してからシャワーを浴び、食事をとるようにしています。それだけで、その晩の眠りの質はまったく違うものになる——これは、何度も実感してきたことです。
「歳のせいだから仕方ない」と諦めてしまう前に、入浴の工夫やストレッチを、ぜひ試してみてください。もし体の硬さや寝返りのしにくさが気になる場合は、整体で体の状態を確認しながら整えていくこともできます。
その不調、そのままにしないで
眠れない夜が続くと、それだけで心も体も消耗します。
体の使い方から一緒に見直してみませんか。
臨床経験
施術実績
継続年数
📍 東京都杉並区・下高井戸駅より徒歩1分
監修
あさがおパーソナルジム / あさがお整体院
国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー 加藤秀之
柔道整復師として40年、延べ15万件以上の施術・運動指導に携わってきました。膝・腰・肩などの運動器疾患に向き合う中で行き着いたのは、「痛みを取るだけでは根本的な解決にならない」という結論です。
現在は整体で身体を整えた上で「一生歩ける体を作る」運動指導に軸足を置き、痛みの改善だけでなく再発予防までを一貫してサポートしています。本記事の内容は、この臨床経験に基づいて監修しています。
FAQ|夏の安眠対策についてよくある質問
- エアコンの設定温度は何度がベストですか?
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布団の中の温度は、年間を通じて33℃前後に保たれているのが理想とされています。夏はこの状態に近づけるため、室温26℃前後・湿度50〜60%を目安に、朝までつけっぱなしにすることをおすすめしています。
- 保冷剤を使っても暑くて起きてしまいます。なぜですか?
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保冷剤は体の一部分だけを冷やす対症療法のため、部屋全体の熱や、寝返りが減ったことで背中側にこもる熱までは解消できません。環境と体の両方を整えることが、根本的な対策になります。
- 体が硬いことは、睡眠にも影響しますか?
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はい。関節の硬さや筋力の低下で寝返りが十分に打てなくなると、同じ部位に熱と体重がこもり続け、寝苦しさの原因になります。体の状態が気になる方は、一度あさがおでチェックしてみることをおすすめします。
- 整体では、夏の睡眠トラブルについても相談できますか?
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もちろんです。体の柔軟性や寝返りのしやすさを確認しながら、睡眠の質に関わる体の使い方を一緒に整えていくことができます。まずはお気軽にご相談ください。

