前編では、夏バテを「①食欲不振型」「②だるさ・倦怠感型」「③冷房型」の3タイプに分けてご紹介しました。今回はタイプ別の具体的な対策と、夏バテを毎年繰り返さないための体づくりについてお伝えします。
自分のタイプが分かったら、今日からできることを少しずつ始めてみましょう。大切なのは、一度にすべてを変えようとすることではありません。毎日の生活の中で、無理なく続けられることを一つずつ取り入れることが、夏バテ予防への近道です。
■ タイプ別・今日からできる夏バテ対策

①食欲不振型
胃腸が疲れているときは、「しっかり食べなければ」と無理をする必要はありません。まずは胃腸を休ませながら、消化の良いものを少しずつ摂ることを意識しましょう。
・水分は一度に大量に飲まず、こまめに少量ずつ飲む
・冷たい飲み物ばかりではなく、常温や温かい飲み物も取り入れる
・食欲がない日は、おかゆやうどん、スープなど消化の良い食事を選ぶ
・よく噛んで食べる
・胃が疲れていると感じる日は、一食軽めにして胃腸を休ませることも大切
・食欲不振や体力低下には「足三里(あしさんり)」、下痢や腹痛には「関元(かんげん)」というツボ押しも助けになります

②だるさ・倦怠感型
このタイプは、水分だけ補給していても改善しないことがあります。汗と一緒に失われるナトリウムやカリウムなどの電解質も補うことが重要です。
・味噌汁などで塩分やミネラルを補給する
・大量に汗をかいた日は、状況に応じて経口補水液やスポーツドリンクを利用する
・38〜40℃程度のぬるめのお風呂に10〜15分浸かる
・軽いウォーキングやストレッチで血流を促す
・暑い時間帯の激しい運動は避ける
・だるさには「湧泉(ゆうせん)」というツボも効果的です

③冷房型(冷房病タイプ)
冷房は熱中症を防ぐためにも必要です。大切なのは「冷房を使わないこと」ではなく、「冷えすぎない工夫」をすることです。
・冷房の風が直接当たらない位置に座る
・カーディガンやストールなどで体温調節をする
・足首やお腹を冷やし過ぎない
・外出時は屋内外の温度差を意識する
・軽く肩を回したり、体を動かして血流を促す
・冷えには「三陰交(さんいんこう)」というツボも合わせて押してみましょう
■ 見落とされがちな「睡眠不足」

夏は夜になっても気温が下がりにくく、寝苦しさから睡眠の質が低下しやすい季節です。睡眠不足になると、自律神経の働きが乱れ、胃腸の働きや疲労回復にも影響します。「十分寝たはずなのに疲れが取れない」という方は、睡眠時間だけでなく睡眠の質にも目を向けてみましょう。寝室では無理に冷房を我慢せず、適切にエアコンを使用しながら快適な室温を保つことも、夏バテ予防には大切です。
■ それでも毎年夏バテを繰り返す人に共通すること

毎年同じように夏バテを繰り返す方には、ある共通点があります。それは筋肉量の低下です。筋肉には、熱を作る、血液を送り出すポンプの役割、体温を調節するという大切な働きがあります。年齢とともに筋肉量が減ると、暑さにも寒さにも対応しにくくなり、自律神経への負担も大きくなります。「以前より夏がつらくなった」そう感じる方は、体力だけではなく筋肉量の変化も関係しているかもしれません。
■ 夏バテを繰り返さないためには「程よい筋トレ」が効果的

「夏は運動を控えた方がいい」と思われる方も多いのですが、実は半分正解で半分誤解です。真夏の日中に激しい運動をすることはおすすめできません。しかし、冷房の効いた室内で行う適度な筋力トレーニングやウォーキングは、筋肉量を維持し、自律神経の働きや体温調節機能を支える助けになります。大切なのは、頑張ることではなく、続けること。夏だからこそ、体力を落とさない程度の運動を習慣にすることが、秋以降の健康にもつながります。
■ 夏の体を元気にする食事のヒント
| 目的 | おすすめの食材 | ポイント |
|---|---|---|
| 水分・ミネラル補給 | 味噌汁・麦茶・スイカ・きゅうり・トマト | 汗で失われる水分や電解質を補います |
| 疲労回復 | 豚肉・梅干し・レモン・枝豆 | ビタミンB1やクエン酸がエネルギー代謝を助けます |
| たんぱく質補給 | 豆腐・納豆・ささみ・白身魚・卵 | 筋肉や免疫機能を支える材料になります |
| 胃腸にやさしい食事 | おかゆ・雑炊・うどん・茶碗蒸し | 食欲がない日でも無理なく食べられます |
| ビタミン補給 | オクラ・モロヘイヤ・パプリカ・ピーマン | 抗酸化ビタミンが夏の体調管理をサポートします |
| 発酵食品 | 味噌・納豆・ヨーグルト | 腸内環境を整え、胃腸の調子をサポートします |
ここに紹介した食材は特別なものではありません。まずはこの表を参考に、今日の食卓に一品プラスすることから始めてみてください。より専門的な栄養知識に基づいた季節の献立やレシピについては、妻・菜穂子が発信する▶︎「元気ごはん」シリーズ(Instagram)で詳しくご紹介しています。あわせてご覧いただくと、今日から始めやすい形で夏の食事を整えていただけます。
■ 夏バテだと思っていても、こんなときは早めに医療機関へ

夏バテは生活習慣の見直しで改善することも多い一方、熱中症や感染症など別の病気が隠れている場合もあります。次のような症状がある場合は、無理をせず早めに医療機関を受診してください。
・水分がほとんど摂れない
・高熱が続く
・激しい頭痛や繰り返す嘔吐がある
・意識がぼんやりする
・強い息苦しさや胸の痛みがある
■ まとめ
夏バテは、「暑さに負けたから起こるもの」ではありません。胃腸の疲れ、自律神経の乱れ、冷房による冷え、睡眠不足、筋力の低下など、さまざまな要因が重なって起こります。だからこそ大切なのは、自分のタイプを知り、それに合った対策を続けること。そして、毎年夏バテを繰り返さないためには、適度な運動・バランスの良い食事・良質な睡眠、この3つを日頃から意識することが何よりの予防になります。
私自身、この40年間で約20,000症例の方々と向き合う中で、「体を整え、無理のない運動を続けること」で季節の変わり目にも負けない体へ変化していく姿を数多く見てきました。今年の夏を元気に過ごすことが、来年以降の夏をもっと楽に過ごすための第一歩になります。どうぞ、ご自身の体をいたわりながら、この夏を健やかにお過ごしください。
「夏バテはしたくない、だから」——
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