その日の朝、診療の合間に電話がかかって来ました。受話器の向こうから聞こえてきたのは、長年通ってくださっているMさんご本人の声でした。近所の坂道を自転車で上っていたところ、途中で失速して自転車ごと転倒してしまった、とのことでした。
Mさんは80代を過ぎておられますが、踊りのお師匠さんとして現役でお弟子さんを指導されている方です。その一報を受けた瞬間、私の頭をよぎったのは「万が一入院が長引けば、寝たきりになってしまう可能性があるかも」という強い危惧でした。40年、多くの高齢の患者様を診てきた経験から、この年代の骨折がどれほど今後の人生を左右するか、経験からも知っていたからです。

診断は「大腿骨頸部骨折」。手術は人工骨頭置換術に
検査の結果、Mさんの怪我は大腿骨頸部骨折でした。太ももの付け根、股関節に近い部分の骨折で、高齢者が尻もちをついた時などに多く見られる骨折の一つです。手術は人工骨頭置換術が選択されました。
不幸中の幸いだったのは、今の医療の進歩です。入院期間は20日間ほど。動きには制限があるものの、人工関節のおかげで室内での生活は杖を付いたり、急遽設置された手すりを伝わったりで何とか過ごせる状態まで回復されていました。
しかし、私が本当に注目していたのは「退院した後」でした。
なぜ「退院後すぐのリハビリ」が、その後の人生を左右するのか

高齢者の骨折で本当に怖いのは、骨折そのものよりも、その後の「安静期間」です。ある病院の解説では、高齢者は寝たきりの時間が長くなるほど、関節が固まる・筋力が落ちる・判断力まで落ちるといった合併症が起こりやすくなるとされています。
たった1週間ベッドの上で安静にしているだけで、筋力は10〜15%も落ちると言われています。これは若い方にとっては数週間で取り戻せる差でも、高齢の方にとっては「もう歩けない体」への入り口になりかねません。
つまり、手術がうまくいくかどうかと同じくらい、退院した直後から、どれだけ早く・どれだけ丁寧にリハビリを再開できるかが、その後の人生を大きく左右するのです。
Mさんご本人から「往診をお願いできないか」とご相談をいただいた時、私は迷わずお受けしました。ここで間を置けば、踊りへの復帰どころか、日常生活すら難しくなってしまう可能性があると分かっていたからです。
週3回の往診、2ヶ月後に見た驚くほどの回復

そこから、週に3回程度のペースで、ご自宅への往診が始まりました。
一歩間違えれば、そのまま寝たきりになってもおかしくない年齢です。それでも、Mさんの回復は目を見張るものでした。2ヶ月ほどの往診を経て、最初は杖をついて、3ヶ月後には杖なしで歩いて通院での治療に戻れるまでに回復されたのです。
それだけではありません。その後骨折から半年後にMさんは踊りのお師匠さんとしての指導を再開されました。そして後日、私はMさんの晴れ舞台でもある発表会にご招待いただきました。凛とした美しい着物姿で舞台に立たれるMさんの姿を拝見した時、リハビリに携わった一人として、胸がいっぱいになったことを今でも覚えています。
このご縁がきっかけで、ご子息様からの信頼も一段と深まりました。「何かあったら、あさがおに行きなさい」——ことあるごとにそうおっしゃってくださっていると伺い、今でもその言葉を大きな誇りに思っています。
利用者さまの「もしも」に、これまでも数多く向き合ってきました

「Mさんのようなケースは、決して特別なことではありません。大腿骨頸部骨折に限らず、腰椎の圧迫骨折で身体を起こすのがつらくなった方の往診も、これまで数多く行ってきました。骨折、体力の低下、外出が難しくなったこと——『もう年だから仕方ない』と諦めかけたその時こそ、早く動き出せるかどうかが分かれ道になります。」
私たちは、これまでも開業以来28年間、こうしたご自宅への訪問施術を数多く行ってまいりました。今回、これをより多くの方にご案内できる形として、正式にあさがお訪問コンディショニングサービスとしてまとめました。
一緒に過ごしているご家族はもちろんのこと、離れて暮らすご家族の「もしもの時」「心配になった時」には一度、私たちにご相談ください。
まずは、無料カウンセリングから。
電話・LINE・Google meet/Zoomでのご相談も承っております。
ご本人様、ご家族様、どちらからのご相談もお待ちしております。
📍 下高井戸を拠点に京王線・世田谷線沿線へ出張対応
あわせて読みたい


執筆・監修
あさがおパーソナルジム / あさがお整体院
国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー 加藤秀之
柔道整復師として40年、約2万名に延べ15万件以上の施術・運動指導に携わってきました。膝・腰・肩などの運動器疾患に向き合う中で行き着いたのは、「痛みを取るだけでは根本的な解決にならない」という結論です。
現在は整体で身体を整えた上で「一生歩ける体を作る」運動指導に軸足を置き、痛みの改善だけでなく再発予防までを一貫してサポートしています。本記事の内容は、この臨床経験に基づいて監修しています。
FAQ よくある質問
-
骨折や手術の後でも、往診をお願いできますか?
-
はい、対応可能です。医師の許可のもと、退院後できるだけ早い段階からのリハビリのご相談を承っています。まずは現在の状態をお伺いした上で、無理のない範囲でメニューをご提案します。
-
本人ではなく、家族から往診を依頼することはできますか?
-
もちろんです。ご本人が申し込みにくい状況でも、ご家族からのご相談を歓迎しております。
-
週に何回くらいのペースで通ってもらえますか?
-
状態やご希望に応じて調整しますが、回復期には週1〜2回程度のペースでご利用いただくケースが多くあります。

