トレーニングを終えて見送りをしていたときだった。68歳の会員様が、ぽつりとこうおっしゃった。
「最近、靴を履くのがキツくなってきてね」
「運動不足で筋肉が落ちて、体も硬くなってきているんだと思いますよ」と私が返すと、続けてこんな言葉が返ってきた。
「足の爪も、切れなくてねぇ」
どちらも大きな病気の症状ではないにせよ、体が硬くなっているサインとしては、非常に分かりやすいものです。実際、加齢とともに関節や筋肉の柔軟性が低下することは、複数の研究でも確認されています。出典:Limited joint mobility in diabetes and ageing(International Journal of Immunopathology and Pharmacology)
「歳だから仕方ない」——多くの方がそう流してしまうこの変化には、実はきちんとした理由があります。
マッチョもダイエットも望んでいない。望むのは、楽しくお酒を飲める日常

この会員様は、もともとマッチョになりたいわけでも、体重を落としたいわけでもありません。ご本人の望みはシンプルで、「これからも楽しくお酒を飲める日常を維持したい」ということでした。
会社を経営されている方なので、会食も多い。階段を軽やかに上り下りできること、正座やあぐらで座れること、靴を自分でスッと履けること——特別なことではなく、こうした当たり前の動作を、これからも当たり前に続けたい。そのための体づくりです。
体重や見た目の変化を追いかけるのではなく、「衰えさせない」「硬くならせない」ことを目的に、トレーニングと並行して体のメンテナンスも継続的にサポートしています。
体が硬くなる、6つの理由

体が硬くなる理由を分解していくと、大きく6つの変化が関わっています。
① 筋肉量が減る
加齢とともに、特に瞬発力を担う「速筋」から筋肉が減っていきます。筋力が落ちると、体を大きく動かす機会そのものが自然と減っていきます。
② 筋肉・腱の弾力性が低下する
筋肉や腱を構成するコラーゲンが、加齢によって変化します。特に腱は若い頃より硬くなり、関節の動きがスムーズでなくなっていきます。出典:Limited joint mobility in diabetes and ageing(International Journal of Immunopathology and Pharmacology)
③ 関節そのものが変化する
軟骨がすり減り、関節を包む関節包や靭帯の柔軟性が落ちることで、動かせる範囲が物理的に狭くなります。ストレッチで筋肉を伸ばすだけでは対応できない変化です。
④ 体を動かす量が減る
これが実は一番大きな要因です。しゃがむ、腕を大きく振る、体をひねる——こうした動作は、年齢とともに日常生活から静かに消えていきます。使わない可動域は「不要」と判断され、どんどん狭まっていきます。
⑤ 筋膜などの結合組織が変化する
筋膜を含む結合組織も、加齢によって水分量や滑走性が変化します。組織同士の滑りが悪くなることで、動きにくさにつながります。
⑥ 脳・神経系の影響
柔軟性は筋肉が伸びるかどうかだけでは決まりません。「ここまで動かして大丈夫」という判断は脳が行っています。過去の痛みや転倒への不安があると、無意識に体を固めてしまうこともあります。
これらが単独ではなく、同時進行で重なっていくのが、体が硬くなる本当の理由です。
整えて、鍛える。あさがおの理論

私たちは日常のあらゆる瞬間、重力に逆らって立ち、座り、歩いています。この「重力に逆らう」という行為を支えているのが筋肉です。運動が嫌いな方の多くは「どうすれば運動しなくて済むか」を考えがちですが、実際には体を動かさない選択肢はそもそも私たちには存在しません。立っているだけでも、座っているだけでも、私たちは常に重力と戦っているからです。
運動をやめるということは、この戦いを支える筋肉を鍛えることをやめる、ということに他なりません。だからこそ、「運動するか、しないか」ではなく、「重力に負ける体に甘んじるのか、重力に負けない体にするか」という二者選択の意味合いが、本質に近いのです。
体が硬くなる理由を6つ見てきましたが、では「じゃあ運動しましょう」と言われて、素直に体を動かす気になるでしょうか。
膝が痛い。腰が張っている。肩が上がらない——こうした不調を抱えたままでは、運動へのモチベーションはなかなか上がりません。それどころか、痛みをかばいながら無理に体を動かすことは、かえって悪化させたり、別の場所に負担をかけてしまうのではと考えてしまいがちです。
だからこそ、最初にすべきことは「整え」てその不安を解消することです。痛みや不調の原因を取り除き、安心して体を動かせる状態を作る。これが、運動を続けられる土台になります。
そしてもうひとつ、見落とされがちな理由があります。体が硬く、可動域が狭いまま筋トレを行うと、狙った効果が十分に得られないケースがあるということです。関節の動く範囲が制限された状態でトレーニングを続けると、体は無意識に「動かしやすい方向」だけを使う癖をつけていきます。結果として、特定の筋肉ばかりに負荷がかかる歪んだ使い方が定着し、期待した効果につながりにくくなってしまうのです。
つまり、「整える」ことは、痛みを取るためだけではありません。運動の効果を正しく引き出すための、いわば土台づくりでもあるのです。
柔道整復師として体の状態を見極め、パーソナルトレーナーとして運動を指導する——この両方を、同じ人間が同じ場所で一貫して行えることが、あさがおの強みです。「治療はここまで、運動は別のジムで」と分断されることなく、整えながら鍛える、鍛えながら整える、というサイクルを止めずに回し続けられます。
整えながら鍛えた先にあるもの

整えながら鍛えることを続けている会員様たちを見ていて感じるのは、体の変化そのものもそうですし、やりたかったことを「諦めなくなること」の方が大きいということです。
ゴルフでライバルに負けたくないから、飛距離を落とさないためにトレーニングを続ける方。旅行や食事会に誘われたときに、「行けるかな」ではなく「行こう」と即答できるようになった方。孫と一緒に遊ぶことが楽しみになった方。趣味を続けるために、体調を原因にすることなく、諦めないでチャレンジしていてくれる——そんな変化を、これまで何人も見てきました。
体が硬く、不調を抱えたままでは、やりたいことよりも「無理をしないこと」が優先されがちです。しかし整えて鍛えることを続けていくと、少しずつ「体が理由で諦める」場面が減っていきます。これは特定の誰か一人の話ではなく、あさがおで継続してこられた会員様たちに共通して見られる変化です。
先ほどの68歳の会員様も、まだ始まったばかりですが、目指しているのはまさにこの状態です。楽しくお酒を飲める日常、当たり前の動作を当たり前に続けられる体——それを、これからも一緒に維持していきます。
「歳だから仕方ない」を、言わない、言わせないサポートを提供
靴が履きにくくなった。爪が切りにくくなった。階段が少し億劫になった——もしこうした変化に心当たりがあるなら、それは「歳のせい」で片付けてしまうには、もったいないサインです。
体が硬くなるのは、老化だから仕方ないことではありません。筋力が落ち、可動域が狭まり、バランスを崩さないよう体が無意識に動きを制限し、そして実際に体を大きく使う機会が減っていく——これらが重なって起きていることです。裏を返せば、この4つに向き合えば、硬さの進み方は変えられるということです。
筋力×可動域×バランス×実際に体を使うこと。
この4つを、痛みや不調を抱えたまま自己流で追いかけるのは簡単ではありません。だからこそ、まず体を整え、安心して動ける状態を作ってから、鍛えていく。あさがおが大切にしているのは、そのための伴走です。
その不調、そのままにしないで
体を整えることから、始めてみませんか。
臨床経験
施術実績
継続年数
📍 東京都杉並区・下高井戸駅より徒歩1分
監修
あさがおパーソナルジム / あさがお整体院
国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー 加藤秀之
柔道整復師として40年、2万名の方に延べ15万件以上の施術・運動指導に携わってきました。膝・腰・肩などの運動器疾患に向き合う中で行き着いたのは、「痛みを取るだけでは根本的な解決にならない」という結論です。
現在は整体で身体を整えた上で「一生歩ける体を作る」運動指導に軸足を置き、痛みの改善だけでなく再発予防までを一貫してサポートしています。本記事の内容は、この臨床経験に基づいて監修しています。
FAQ よくある質問
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体が硬いのは、ストレッチだけで改善できますか?
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ある程度は改善しますが、痛みや歪みを抱えたまま自己流で行うと、かえって偏った使い方が定着することがあります。まずは体の状態を確認し、整えてから取り組むことをおすすめしています。
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60代からでも体は変わりますか?
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はい。加齢による組織の変化は止められませんが、整えながら筋力・可動域を維持していくことで、日常動作の快適さは十分改善が見込めます。
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運動が苦手でも通えますか?
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むしろそうした方こそ、まず整えることから始めるのがおすすめです。痛みや不安がある状態で無理に体を動かす必要はありません。
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