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マンジャロで痩せても大丈夫?――糖尿病の薬をダイエットに使う前に知っておきたい副作用と「やめた後」の話

お腹にマンジャロを打つ女性

「マンジャロを使うと、簡単に痩せられるらしいぞ」。そんな話を、最近よく耳にするようになりました。SNSやインターネットを見ていると、「食欲がなくなったわ」「何kg痩せたぜ」といった体験談も目に入ります。

一方で厚生労働省は、2026年6月16日に通知を出し、糖尿病治療薬などを美容・痩身目的で使うことに注意を呼びかけています。さらに10月3日には、日本肥満学会も、これらの薬を急激な減量や過度な食事制限のために使うべきではないとする声明を発表しました。

では、「糖尿病の薬で痩せる」ことは危険なのでしょうか? 実は、この話は安全か、危険か、だけで語れるほど単純ではありません。現在、日本では肥満症を治療するための薬も正式に承認されています。つまり「薬で痩せる=すべて危険」という話でもないことを最初に言っておきます。

調べてみると、同じように「体重が減る」という結果が出ても、糖尿病を治療するために使う場合、肥満症を治療するために使う場合、美容やダイエット目的で使う場合とでは、意味が大きく違うことが分かってきました。

私は医師ではありません。だからこそ今回は、個人的なイメージやSNSの情報ではなく、厚生労働省や国の医薬品審査機関の公開資料、そして実際の臨床試験を一つずつ確認してみました。

「痩せるのか?」だけではなく、そもそも誰に使う薬なのか。どんな効果が確認されているのか。どんな副作用があるのか。薬をやめた後どうなるのか。そして、減った体重の中に筋肉はどのくらい含まれているのか。そこまで少しマニアック寄りに調べてみたいと思います。最後までお付き合いのほどよろしくお願いします

目次

まず、「糖尿病の薬」と「肥満症の薬」は同じではない

超肥満の働く男性

いま話題になっているのは、体の中で食欲を抑えるホルモンの働きをまねた薬です。専門的には「GLP-1受容体作動薬」などと呼ばれますが、名前は覚えなくても大丈夫です。

少しややこしいのですが、中身の成分が同じでも、名前の違う薬があります。たとえば、糖尿病の薬「マンジャロ」と、肥満症の薬「ゼップバウンド」は、同じ成分の薬です。同じように、糖尿病の薬「オゼンピック」「リベルサス」と、肥満症の薬「ウゴービ」も、同じ成分でできています。

「同じ成分なんだったら、どれを使っても同じでは?」と思うかもしれません。しかし医薬品は、何という成分が入っているかだけでは判断できません。何の病気に、どんな効果を期待して、どれくらいの量を使うのか。薬にはそれぞれ、国から認められた「使い道」が決まっているのです。

国の医薬品審査機関であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)のサイトに載っている資料でも、肥満症の薬は、糖尿病の薬と同じ成分であっても、肥満症の人を対象にした臨床試験で改めて効果と安全性を確かめた、別の薬だと説明されています。

「同じ成分だから同じ薬」ではない。ここは、今回の記事を理解するうえで非常に重要なポイントなので頭の片隅に覚えておいて下さい。

① 糖尿病治療薬として使う

糖尿病の薬をお腹に注射する男性

まずは本来の目的です。2型糖尿病の患者さんの血糖値を改善するために使い、その結果として体重も減る薬があります。例えばマンジャロでは、2型糖尿病の患者さんを対象とした臨床試験で、使う量に応じて体重が減ることが確認されています。

つまり「糖尿病の薬には体重を減らす作用がある」。これは事実です。

しかし、「体重が減る」という効果と、「糖尿病ではない人がダイエット目的で使ってよい」ということは、まったく別の話です。薬の効果を知るときには、「痩せるのか?」だけでなく、「誰を対象にした研究なのか?」を見る必要があります。

② 肥満症を治療する薬として使う

日本では現在、肥満症を治療するための薬として「ウゴービ」や「ゼップバウンド」が正式に承認されています。「糖尿病の薬をダイエットに使っている」という一面的な理解だけでは、いまの医療を正確に説明できません。

では、誰でも使えるのでしょうか。もちろん、そうではありません。一定以上のBMIに加えて、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病などの健康障害があることが条件です。さらに、まず食事や運動で改善に取り組み、それでも十分な効果が得られず、薬が必要と判断された場合に使うことになっています。

ここで大切なのは、日本では「肥満」と「肥満症」が区別されていることです。BMIが25以上なら医学的には「肥満」ですが、それだけで「肥満症」という病気になるわけではありません。肥満に健康障害が伴っているなど、医学的に治療が必要な状態が「肥満症」です。

つまり問われるのは、「何kg痩せたいか」ではなく、「医学的に治療が必要な状態なのか」なのです。

③ 美容・痩身目的で使う

痩せ薬を飲む女性

そして3つ目が、今回最も注意して考えたい部分です。糖尿病の薬などを、本来認められた目的とは違う、美容・痩身目的で使うケースです。

厚生労働省は2026年6月16日の通知で、これらの薬を美容・痩身目的で使うことに注意を呼びかけました。その理由の一つが、国が認めた目的や使い方から外れて使った場合の安全性や有効性は確認されていない、ということです。先ほどのPMDAの資料にも、健康障害を伴わない肥満や普通体重の人に、美容・痩身・ダイエット目的で使う薬ではないと明記されています。

2026年10月には日本肥満学会も声明を出し、急激な減量や過度な食事制限のためにこれらの薬を使うべきではないと訴えました。肥満症や糖尿病ではない人が使うと、副作用の種類や頻度、重さが、本来の使い方とは異なる可能性があることも指摘されています。

ここで誤解してはいけないのは、「認められた目的以外で使う=すぐに違法」という単純な話ではないことです。医療の現場では、医師の判断で、認められた目的とは別の目的で薬を使うこともあります。

今回私が問題にしたいのは、法律論で白黒をつけることではありません。もっと単純な話です。その使い方について、どこまで安全性と有効性が確認されているのか。それを知ったうえで判断することが大切だと思うのです。

「痩せる」効果の裏側にある副作用

臨床試験を見ると、これらの薬にはかなり大きな体重減少が確認されているものがあります。人気が出るのも理解できます。

ただし、薬には当然ながら「効果の反対側」があります。厚生労働省の通知では、比較的多い副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛といった、おなかの症状が挙げられています。また、決められたとおりに使った場合でも、重い副作用として、低血糖や、膵臓に急な炎症が起こる急性膵炎が起こり得るとされています。

もちろん、これらがすべての人に起こるという意味ではありません。薬によって副作用の種類や頻度も異なります。だからこそ、「副作用があるから怖い」ではなく、「どんな副作用が、どの程度起こり得るのか」を見る必要があります。

薬をやめたら、体重はどうなるのか

ダイエットした後、リバウンドしてしまった女性

ここは、ダイエットという視点だけでは見落としやすいところですが、私がこの記事で最も伝えたい事実の一つです。

薬を使っている間に体重が減った。では、薬をやめたらどうなるのでしょうか。

ウゴービと同じ成分の薬を使った臨床試験では、68週間の治療を終えて薬をやめた人たちを、その後1年間追跡しています。すると1年後には、治療中に減った体重の約3分の2が戻っていました。(いわゆるリバウンドってやつです。)

マンジャロと同じ成分の薬でも、同じ傾向が確認されています。途中で薬をやめ、有効成分の入っていない偽薬(プラセボ)に切り替えた人たちは、体重が大きく戻りました。一方、薬を続けた人たちは、減った体重を維持し、さらに減らしていました。

食欲を抑える薬の働きがなくなれば、体重は戻りやすい。「薬を飲んで○kg痩せた」という数字だけでは、その後のことは分からないのです。痩せた後の体重を、何で支えていくのか。そこまで考えて初めて、減量は意味を持つのだと思います。

「痩せた=脂肪だけが減った」ではない

筋トレ運動で綺麗な筋肉の女性

もう一つ私が気になったのが「筋肉」です。これは、私自身が40年にわたって身体を見てきた立場だから、余計に気になるところです。

体重が減れば、それだけで健康になったように感じます。しかし、人間の身体はそんなに単純ではありません。減った体重の「中身」を見る必要があります。

マンジャロと同じ成分の薬を使った研究では、72週間(約1年半)で体重が大きく減りました。そこで、減った体重の中身を専用の検査で詳しく調べると、減っていたのは脂肪だけではありませんでした。減った体重のおよそ4分の1は、筋肉や水分など、脂肪以外の重さだったのです。

ただし、この「脂肪以外の重さ」がすべて筋肉というわけではありません。筋肉だけでなく、水分や内臓なども含まれます。ですから、「薬で痩せると筋肉が25%なくなる」という単純な話ではありません。しかも、この割合は薬を使わなかったグループでもほぼ同じでした。つまり、薬に限らず、体重を落とせば筋肉も一緒に減りやすいということです。

それでも、体重だけを見ていると、身体の中で何が減ったのかは分からない。これは確かです。50代以降は、何もしなくても筋肉が減りやすい年代です。だからこそ減量を考えるときには、体重だけでなく、筋肉量や筋力、身体機能、そして食事や運動も一緒に考える必要があります。

ここで、一度立ち止まって考えてみる

今回調べていて、私が一番重要だと思ったのは、「薬で痩せることは良いのか、悪いのか」という二択ではありませんでした。

その薬は誰のためのものなのか?
何を治療するためのものなのか?
どんな条件で効果が確認されているのか?
どんな副作用があるのか?
やめたらどうなるのか?
減った体重の中身は何なのか?

ここまで見て初めて、「その薬について知った」と言えるのではないかと思います。

「薬に頼る」のではなく、「薬を正しく使う」

私は、薬を否定したいわけではありません。むしろ逆です。薬には、病気を治療したり、症状を改善したり、生活の質を高めたりする大きな力があります。糖尿病の薬も、肥満症の薬も、必要な人にとっては重要な治療手段です。

だからこそ、「薬は怖い」と一括りにするのは違うと思います。同時に、「薬を使えば簡単に痩せられる」という部分だけを見るのも違います。効果があるからこそ、注意すべきことがある。(薬には作用と反作用が必ずあることを理解しておく)この両面を見ることが大切なのだと思います。

50代を過ぎたら、「健康情報を読む力」が必要になる

体重計に乗り体重と体脂肪を測り管理する

今回の記事を書こうと思った理由は、実は「ダイエット薬」そのものではありません。有名インフルエンサー達がファッションのように薬を使って痩せたことを美談のように語ることへの危機感を感じたからです。

前回の記事では、「内臓脂肪を減らす水」という機能性表示食品について調べました。広告を見るだけなら、「内臓脂肪が減る水か、すごいな」で終わります。でも少し調べると、何が効いているのか、誰を対象にした研究なのか、その研究は商品そのものを使ったものなのか、という疑問が芽生えます。

今回も同じでした。流行のような「糖尿病の薬で痩せるらしい」という情報を見たとき、「危険だからやめたほうがいい」でも「痩せるなら使ってみたい」でもなく、「そもそも、どういう薬なのだろう?」と調べてみる。すると、糖尿病の薬があり、肥満症の薬があり、そして美容・痩身目的の使用がある。さらに副作用や、やめた後の体重、減った体重の中身まで見ていくと、最初に見た情報とはまったく違う景色が見えてきます。

50代を過ぎると、「これを飲めば若返る」「これだけで痩せる」「この薬で簡単に痩せられる」といった健康情報が、毎日のように入ってきて、耳元で囁きます。「やってみる価値があるんじゃないかい」と、だからと言ってそのたびに医学論文を読み込む必要はありません。でも最低限、次の3つを考えるだけでも、健康情報の見え方はかなり変わってくると思います。

「これは誰を対象にした話なのか?」
「どんな条件で効果が確認されたのか?」
「良い面の反対側には、何があるのか?」

「自力でできることは、自分でやる」

私は、何でも自力で解決すべきだとは思っていません。病気になれば医療の力を借りる。薬が必要なら、医師と相談して薬を使う。手術が必要なら、手術を受ける。それは当然のことです。

ただその一方で、自分でできることまで、すべて他人任せにする必要もないと思っています。食事を整える。身体を動かす。筋肉を維持する。睡眠を大切にする。自分の健康診断の数字を知る。そして、入ってきた健康情報を、少しだけ自分で調べてみる。

医療に任せるところと、自分でできるところを分ける。そのために必要なのが、正しい知識です。

「理論武装」は、難しい医学知識を身につけることではない

私が健康情報について「理論武装」という言葉を使っているのは、医学者のような知識を身につけてほしいからではありません。自分の身体について、「本当にそうなの?」と一度立ち止まって考えられるようになってほしいからです。

前回の「内臓脂肪を減らす水」も、今回の「痩せる薬」も、入り口はまったく違います。でも、調べ方は同じでした。

  1. 広告や口コミを見る
  2. 商品名・薬の名前を確認する
  3. 何が作用しているのかを見る
  4. 誰を対象にしたものなのか調べる
  5. どんな条件で効果が確認されたのか調べる
  6. 効果だけでなく、副作用を見る
  7. その後どうなるのかを見る
  8. そして最後は、自分で考える

これだけでも、健康情報に振り回されにくくなるのではないでしょうか。

最後に

今回、薬について調べてみて、改めて感じたことがあります。それは、体重という一つの数字だけでは、人の健康は判断できないということです。体重が減っても、筋肉が減っているかもしれない。薬を使うことが必要な人もいれば、生活習慣の改善で変われる人もいる。大切なのは「薬か、自力か」という二択ではなく、自分の身体の状態を知り、その時の自分に必要な方法を選ぶことです。

私は、50代以降の方に「いつまでも若くいましょう」と言いたいわけではありません。それよりも、これから先の人生を、自分の身体で楽しめる時間をできるだけ長くしてほしい。私自身も含めそう願っています。

そのためには、医療の力も、薬の力も必要です。でも同時に、自分自身でできることもあります。

食べる。動く。整える。そして、知る。

そのうえで、必要なときには医療の力を借りる。誰かの「○kg痩せた」という話だけで判断するのではなく、「自分の場合はどうなのだろう?」と考えられる知識を持っておく。それが、これからの人生を健康で豊かに過ごすための、私なりの「理論武装」です。

下高井戸駅 徒歩1分|あさがおパーソナルジム/整体院

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執筆・監修:加藤秀之

あさがおパーソナルジム / あさがお整体院

国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー 加藤秀之

柔道整復師として40年、延べ約20,000人に、15万件以上の施術・運動指導に携わってきました。膝・腰・肩などの運動器疾患に向き合う中で行き着いたのは、「痛みを取るだけでは根本的な解決にならない」という結論です。

現在は整体で身体を整えた上で「一生歩ける体を作る」運動指導に軸足を置き、痛みの改善だけでなく再発予防までを一貫してサポートしています。本記事の内容は、この臨床経験に基づいて監修しています。

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FAQ  よくある質問

マンジャロをダイエット目的で使っても大丈夫ですか?

マンジャロは、2型糖尿病の治療薬として承認された薬です。厚生労働省は2026年6月、美容・痩身目的での使用について、承認された範囲外で使った場合の安全性や有効性は確認されていないとして注意を呼びかけています。肥満症の治療薬(ウゴービ・ゼップバウンド)もありますが、肥満症と診断され、一定の条件を満たした場合に使う薬です。体重や体型でお悩みの場合は、まず医師にご相談ください。

薬をやめると、体重は元に戻りますか?

臨床試験では、戻りやすいことが報告されています。セマグルチドの試験では、薬をやめてから1年後に、治療中に減った体重の約3分の2が戻っていました。チルゼパチドの試験でも、途中で偽薬(プラセボ)に切り替えた人たちは、体重が大きく戻っています。

薬で痩せると、筋肉も減りますか?

チルゼパチドを使った研究では、減った体重のおよそ4分の1が除脂肪量の減少でした。この割合は薬を使わずに体重を落とした人たちでもほぼ同じで、体重を落とせば筋肉も一緒に減りやすいことが分かります。除脂肪量には筋肉だけでなく水分や臓器なども含まれるため、すべてが筋肉というわけではありません。ただ、体重だけを見ていても、身体の中で何が減ったのかは分かりません。減量を考えるときは、筋肉量や筋力もあわせて見ることが大切です。

減った体重を保ち、筋肉を守るには、やはり運動が大切ですか?

はい、大切です。50代以降は何もしなくても筋肉が減りやすい年代です。食事でしっかり栄養をとりながら、筋力トレーニングを続けることが、減量後の体重と元気に動ける身体を支える土台になります。あさがおでは、柔道整復師が身体の状態を確認し、整体で整えたうえで、1回30分のパーソナルトレーニング(加圧トレーニングにも対応)で、無理なく続けられる運動を指導しています。食事のご相談にも応じていますので、まずはLINEやカウンセリングでお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

加藤秀之
国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー

大阪出身。18歳で上京し、昼は接骨院・夜は専門学校という生活を3年間続けて柔道整復師の国家資格を取得。

1998年に下高井戸で開業して28年目。

自身はフルマラソン・サブ3.1のガチランナーとして月400キロ走り込んだ経験から、予防は治療に優るから「治すより、病気しない・怪我しない」時代が来ると信じている。

現在も下高井戸商店街振興組合理事を24年間務め、
ご縁のある地域の方の健康と28年間向き合ってきた。

あさがおパーソナルジム/あさがお整体院 下高井戸駅徒歩1分

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