「年をとると太りやすくなるのは、基礎代謝が落ちるから」との思い込み。
多くの方が◯と答えそうなこの問題、番組内での答えは✕でした。2021年に科学誌『Science』に掲載された国際研究では、29か国・6,421人のエネルギー消費を調べた結果、基礎代謝を含むエネルギー消費は20歳から60歳ごろまでほぼ一定であることがわかりました。
では、なぜ中年になると太りやすくなるのか。そして、食事制限などを頑張って痩せてもリバウンドしてしまうのか。
後編では、2026年10月8日放送「林修の今知りたいでしょ!」の「体重の新常識」完全マスターSPから、太りにくい体の作り方、懐かしの昭和・平成ダイエット、リバウンドの防ぎ方、そして間違ったダイエットの危険性をお伝えします。番組ではリバウンドの原因を「ストレス」と説明していましたが、私は「それだけじゃないだろ!」とツッコミを入れながら見ていましたが、実はもうひとつ、体そのものが元の体重に戻ろうとする働きも関係しています。この点は、長年柔道整復師として、トレーナーとして体験してきた事実を交えて、後半で詳しくお伝えしようと思います。
「6キロ痩せたのに、元気がなくなった」

44歳の会社員の女性が、あさがおに来られたときの話です。
彼女は1日1食などの自己流の食事制限で、6キロの減量に成功しました。ところがその後すぐにリバウンド。それだけではなく、体調を崩してインフルエンザにかかり、治ったあともすぐに完治とはならず、完全回復に時間がかかったそうです。「自分なりに頑張ったのに正直ガッカリした。」と振り返っていました。
あまりにも体調不良が続くので精密検査を受けたところ、診断は「プレフレイル」。要介護の手前の段階である「フレイル」の、さらに一歩手前の状態です。高齢者の話だと思われがちですが、40〜50代でも見られますし、最近は20代の若者でも珍しくないこの状態は、運動量の低下、栄養バランスの乱れ、気持ちの落ち込み、睡眠の質や量の低下。彼女は、そのすべてに当てはまっていました。
特に、自己流の食事制限によるタンパク質不足が大きく、「元気が出ない」「体が動かない」という状態が続いていたそうです。医師からも専門家の指導のもとでのトレーニングを勧められ、あさがおに来てくださいました。
「痩せたら元気になれる」と思って始めたダイエットで、結果的に元気をなくしてしまう。本末転倒ですが番組を見ながら、彼女のことを思い出していました。
中年太りの正体は、基礎代謝ではなく「活動代謝」

番組では、1日に消費するエネルギーを3つに分けて説明していました。
- 基礎代謝(60〜70%):何もしなくても消費されるエネルギー
- 活動代謝(20〜30%):体を動かすことで消費されるエネルギー
- 食事誘発性熱産生(5〜10%):食事をするだけで消費されるエネルギー
中年太りに影響しているのは、2つ目の活動代謝です。25歳を境に、知らないうちに下がっていくと番組では紹介されていました。
通勤で歩く距離が減った、階段よりエレベーター、休日は家で過ごすことが増えた。一つひとつは小さな変化でも、積み重なると活動代謝は確実に落ちていきます。
「おへそが上下する運動」で活動代謝を上げる

番組では、中年以降の人でも簡単にできる活動代謝アップの方法として、おへその位置が上下に動く運動が紹介されました。
番組では詳しく触れられていませんでしたが、柔道整復師として補足すると、おへそが上下する運動とは、つまり「下半身を使う運動」のことです。体の中でもっとも大きな筋肉が集まっているのが太ももやお尻。ここを動かすことが、活動代謝を上げるいちばんの近道です。
- 椅子から立ち上がる運動:座った状態から、ゆっくり立ち上がってゆっくり座る
- 壁に向かって行うワイドスクワット:足を肩幅より広く開き、壁に手を添えてバランスを取りながら腰を落とす
- かかとの上げ下げ(カーフレイズ):立った姿勢で、かかとをゆっくり上げて、ゆっくり下ろす
どれも特別な道具はいりません。テレビを見ながらでも、歯みがきをしながらでもできますから、覚えてすぐ実践してください。
早食いの人ほど、太りやすい

もうひとつ、太りにくい体を作るポイントとして紹介されたのが「食べ方」です。
藤田医科大学の研究チームは、日本人約56万人の健診データを5年以上追跡し、20代での食べる速さとその後の体重の関係を調べました。その結果、20代で早食いだった人は肥満が、ゆっくり食べていた人は標準体重が続きやすい傾向がありました。しかも早食いの習慣は、年をとっても7〜8割の人が続けていたそうです。
番組では、体重が標準のグループは噛む回数が多く、一口が小さく、ゆっくり食べる。肥満のグループは噛む回数が少なく、一口が大きく、早く食べる。そんな違いが紹介されていました。肥満のグループは、片手でさっと食べられる食事を選びがちだという傾向もあったそうです。
満腹を感じるまでには、一般的に20分以上かかると言われています。早く食べ終えてしまうと、満腹のサインが届く前に食べすぎてしまうのです。番組のおすすめは「箸でおかずを小さく切って、しっかり噛む」。早速今日の食事から試しましょう。
あなたはどれをやりましたか?昭和・平成ダイエット

ここで少し寄り道を。番組では、日本人の「痩せる常識」がどう移り変わってきたかも紹介されていました。
- 昭和33年頃:フラフープ
- 昭和40年代:痩せる教室
- 昭和53年頃:ぶら下がり健康器
- 昭和57年頃:エアロビクス
- 平成4年頃:りんごダイエット
- 平成13年頃:バランスボール
- 平成17年頃:ビリーズブートキャンプ
- 平成20年頃:バナナダイエット
- 平成25年頃:サバ缶ダイエット
「ぶら下がり健康器、家にあった」「いつの間にか洋服掛けになっていた」「ビリーズブートキャンプのDVD、まだ棚にある」。そんな声が聞こえてきそうです。私はエアロビクス、バランスボール、ビリーズブートキャンプ(中退 笑い)は経験した世代です。
こうして並べてみると、昭和・平成のダイエットは「この器具」「この食材」という単品勝負が中心でした。それが今回の番組では、腸の働き、代謝の仕組み、食べる速さ、そして脳の反応へ。痩せる常識は道健康器具を使って「何をするか」から「体の仕組みをどう生かすか」へと進化してきている気がします。
9キロ痩せた人の43%がリバウンド
ダイエットにチャレンジした多くの方が経験しているリバウンド。それには「脳の反応」が関係しています。
番組で紹介されたのは、2023年に発表されたアメリカの研究です。9キロ以上の減量に成功し、それを1年以上維持していた約2,800人を追跡したところ、1年後には43%の人が2.3キロ以上リバウンドしており、その平均は7.2キロでした。
番組では、リバウンドの最大の原因は「ダイエット中の過度なストレス」だと紹介されていました。ストレスを受けると脳の視床下部が反応し、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌される。その結果、空腹感が強まって食べすぎてしまう、という仕組みです。
リバウンドの本当の理由は、ストレスだけではない

人の体には、ホメオスタシス(恒常性)と呼ばれる働きがあります。体温や血糖値を一定に保とうとするのと同じように、体は体重も一定に保とうとします。急に食事量が減ると、体は「飢餓状態だ」と脳が判断し、エネルギーの消費を抑えて、なんとか元に戻ろうとする。これは体が持っている防衛機能です。
ですから、リバウンドをストレスだけで説明するのは、少し足りないと私は考えています。ストレスによる過食に加えて、体そのものが元に戻ろうとする力が働いている。だからこそ、急激なダイエットほどリバウンドしやすいのです。
実は、番組で紹介された研究の論文自体も、リバウンドした人に共通していたこととして、食べ物の誘惑への反応をコントロールする力の低下、体重や食事を記録するなどの自己管理の低下、自分の体型へのイメージの悪化を挙げています。リバウンドは、一つの原因で起きるものではないのです。
紹介された3つの「1分アクション」と、「1分で済むのか?」問題

番組では、リバウンドを防ぐための「3つの1分アクション」が紹介されました。
- 瞑想:食後に1分間、目を閉じて瞑想する
- ストレッチ:同じく1分間、体を伸ばす
- 1分間の好きなものタイム:1分間だけ、アイスクリームでもケーキでも好きなものを食べていい時間をつくる
特に説明がないと分かりにくい、3つ目は、食後に好きなものを食べる時間をあえて設けることで、自分を許せるようになるという考え方です。ただ、正直に言うと、私の大きな疑問は「はたして本当に1分間で済むのか?」ということでした。
あさがおでは、少し違う形でお伝えしています。ひとつは、甘いものが欲しいときに、その方の体質に合った食材を使ったデザートに寄せること。菜穂子が遺伝子検査をもとに、一人ひとりに合った食材を提案しています。もうひとつは、ダイエットを主な目的にしている方で、一定期間減量が止まってしまったときには、あえて「気にせず好きなものを食べていい日」つまりチートデーをつくることです。毎日1分ずつ我慢を小出しにするより、その方が気持ちも体も続きます。
間違ったダイエットの代償
番組の最後に紹介されたのが、間違ったダイエットの危険性です。
- 20代でも、70代並みの筋肉量になってしまう
- 将来的に、サルコペニア肥満になる可能性がある
- 脂肪肝のリスクも高まる
サルコペニア肥満とは、筋肉が減って脂肪が増えた状態のこと。体重は変わらない、あるいは減っているのに、体の中身は弱っていく。見た目ではわかりにくいからこそ怖いのです。
冒頭の44歳の女性も、まさにこの入り口に立っていました。体重計の数字は減ったのに、筋肉の材料になるタンパク質が足りず、体が動かない。気持ちも落ち込み、眠りも浅くなる。体重を落とすことが目的になったとき、体はこういう形で悲鳴を上げます。
体重ではなく、「元気」を取り戻す

あさがおでは、まず彼女の体調を整えることから始めました。毎回の会話を大切にしながら、体だけでなく気持ちの状態にも気を配り、軽い運動から少しずつ。
今は体重を減らすことにこだわるダイエットではなく、健康的な体を手に入れることを目標に、週1回のトレーニングと日頃のウォーキングを続けています。少しずつ、健康的な日常を取り戻しつつあります。
「まだまだ強い自分になるには道半ば。でも、2匹のポメラニアンに催促され、励まされながらの朝の散歩は欠かせない日課になって、日に日に階段を登るのが苦じゃなくなってきたんです」と、笑顔で話してくださいました。
番組で紹介された新常識は、どれも今日から試せるものばかりです。下半身を動かす、ゆっくり噛む、食後の1分を大切にする。ただ、彼女のように「自己流で頑張った結果、体を壊してしまった」という方を、私たちは何人も見てきました。
痩せることは、ゴールではありません。その先にある、元気に動ける毎日のためのものです。もし「今度こそ、体を壊さずに結果を出したい」と感じたら、まずは気軽に体験会でお話を聞かせてください。番組の新常識を、あなたの体と生活に合わせてどう取り入れるか、一緒に考えます。
前編の高野豆腐の話をまだ読んでいない方は、こちらもあわせてどうぞ。
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執筆・監修:加藤秀之
あさがおパーソナルジム / あさがお整体院
国家資格・柔道整復師×パーソナルトレーナー 加藤秀之
柔道整復師として40年、延べ約20,000人に、15万件以上の施術・運動指導に携わってきました。膝・腰・肩などの運動器疾患に向き合う中で行き着いたのは、「痛みを取るだけでは根本的な解決にならない」という結論です。
現在は整体で身体を整えた上で「一生歩ける体を作る」運動指導に軸足を置き、痛みの改善だけでなく再発予防までを一貫してサポートしています。本記事の内容は、この臨床経験に基づいて監修しています。
FAQ よくある質問
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年をとると、本当に基礎代謝は落ちないのですか?
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2021年に科学誌『Science』に掲載された国際研究では、基礎代謝を含むエネルギー消費は20歳から60歳ごろまでほぼ一定であることがわかりました。番組では、中年太りに影響しているのは体を動かすことで消費される「活動代謝」の低下だと紹介されていました。
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運動が苦手でも、活動代謝を上げることはできますか?
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できます。椅子から立ち上がる運動、壁に向かって行うワイドスクワット、かかとの上げ下げなど、おへそが上下する下半身の運動がおすすめです。特別な道具はいらず、テレビを見ながらでも取り組めます。
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リバウンドしないためには、何に気をつければいいですか?
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番組ではダイエット中のストレスが最大の原因と紹介されていましたが、体には元の体重に戻ろうとする働きもあります。急激に食事を減らさないこと、タンパク質を削らないことが大切です。あさがおでは、体質に合った食材を使ったデザートに寄せる工夫や、減量が停滞したときに好きなものを食べてよい日を設けるなど、続けられる形をご提案しています。
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自己流のダイエットで体調を崩したことがあっても、体験会に参加できますか?
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はい、参加できます。あさがおでは、まず体調を整えることから始め、その日の体調や体力に合わせて内容を調整します。まずは気軽にご相談ください。

